涼しさが大切なクールビズではありますが、ジャケットを活用することも私はお薦めしたいと思います。真夏でも、冷房の効き具合によっては寒いぐらいの場所もありますし、商談など、多少改まった場面でも、ジャケットを着ればノーネクタイでも一応の格好をつけることができるからです。それに備えて、ジャケットのような、裏地のないサッと羽織れる軽めの上着があると便利ですね。普通のジャケットに肩パッドが薄いものや入っていないものは見た目にも着た感触も軽快です。パッチポケット(上から縫いつける形状のポケット)のタイプを選べば、よりいっそうくだけた感じになるでしょう。汎用性が高い定番アイテムなら、紺のブレザーです。いわゆる「紺ブレ」といえば金色のボタンというのがお決まりでしたが、最近ではシルバーや同色のボタンが使われるなど、よりシックな感じのものも増えています。1着あれば重宝します。
知人と再び輸入服地売場に来た。今回はセールをしていて、ワゴンに布が山と積まれている。何を作るという当てもないのに、ワゴンの中の布を次から次へと取り出して、「ヴァレンチノのオーガンジーシルクよ」黒地にパープルや明るい茶の入った大きな花柄の布。一人だと買わなかったものが、二人だと感激が倍になる。「すごくいい!」スカートには派手な気がするけれど、スカーフなら……。「スカーフにしたら素敵!」一着分二万五千円を二人で分けることにする。スカーフならオーダーすることもなく、縁を自分で手縫いするだけだもの。これだけのことで大満足して家路につく。この秋の服装計画は、黒地に水玉模様のモスリンスカートと黒いセーター、同じスカートに茶のジャケット。黒いスカート、アプリコット色のジャケットにヴァレンチノの布で作ったスカーフをブラウス風に合わせて。スカーフはまだ縁取っていないし、スカートもでき上がってはいないけれど、秋が楽しみ。
日本の男性には、難しい代用品よりもむしろ、ジャケットを脱いだシャツ(+タイ)+長ズボン姿のほうがまだ受容しやすいかもしれない。こういうスタイルにおいても、あくまでもスーツの一部を身につけている、という感じが出ているかぎり、基本的に日本では許容されているのが現状だ。くどいが、あくまでもスーツの一部として装うかぎりにおいて、である。だからこそ、同じ前腕を出すにしても、半袖シャツよりも長袖シャツをまくりあげて着るほうが、許される度合が大きくなるわけである。女性はなぜスーツでフル装備できないのか?これまで見てきたように、スーツは近代の男社会の歴史のなかでもまれ、「男」の制度をどっぷりと背負い込み、男社会の倫理の葛藤のなかで熟成してきたような服である。